膝の痛みは多くの人にとって日常生活に影響を及ぼす問題だ。膝の痛みを軽減するためにはさまざまな治療オプションがあるが、今回のブログでは、膝の痛みに対処するための治療オプションの選択肢の一つである「注射療法」に焦点を当てて、どのような症状の時に注射療法を行うのかを簡単に説明して、注射療法と併用して行ってほしいリハビリ療法を紹介する。是非最後まで読んですぐにでも実践してほしい。
膝の痛みにおける注射療法の種類
注射療法の中にも大きく分けて3つほど種類がある。また、膝の痛みの症状も人によって違う。どのような症状にどのような注射療法を選択されるのかを説明していく。
注射療法①:ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸注射は、膝の関節液を補完して関節内の潤滑性を高める効果がある。膝の曲げ伸ばし運動を円滑にすることを目的としているので、軟骨のすり減りや変形性膝関節症による膝の可動制限や、軽度から中等度の炎症に対して効果的とされている。
注射療法②:ステロイド注射
ステロイドは炎症を軽減することが目的で、炎症が原因で膝が腫れたり赤くなったりする場合に適用される。急性的な膝の炎症や激しい痛みに対して使用されるが、長期的な使用は避けるべきだ。
ステロイド注射の長期的使用を避けるべき理由
ステロイドは、炎症を抑えたり激しい痛みなどを軽減するための短期的な使用には適しているが、長期的に使用していくことは推奨されていない。せっかくなのでその理由もこの機会に知っておいてほしい。
①副作用のリスク
長期的なステロイド注射の使用によって、高血圧、糖尿病、骨密度の低下、消化器系の問題、皮膚の変化などの健康リスクを伴う。
②免疫抑制
ステロイドは免疫系の働きを抑制するため、感染症に対する免疫力が低下する可能性がある。よって長期的な使用は感染症に対するリスクを増加させる。
③軟骨の損傷
これもステロイドの成分の副作用になるが、長期使用は関節内の軟骨を損傷する可能性がある。炎症症状を一時的に軽減する効果がある一方で、将来的には膝関節の問題を悪化させることにもなりかねない。
④依存による他の治療法の機会損失
ステロイドには依存性がある(使用し続けていないと炎症や痛みが治まらなくなる、など。)ので中止することが難しくなることがある、依存することで、他の効果的な治療法やリハビリテーションの機会、根本的な治療をする機会を逃してしまう。
長くなってしまったが、それくらいステロイドは劇薬であるということあなたに知っておいてほしいと思ったから敢えてしっかり説明させていただいた。炎症や痛みに対しては特効薬の性質を持ちながら、将来的な健康損失のリスクもあるので、それを念頭に置いて長期的な健康リスクを最小限に抑えるための計画を立てることが重要である。
注射療法③:PRP(血小板富化プラズマ)療法
注射療法紹介の続きに戻る。PRP療法は、血小板を濃縮した血液を関節に注入して組織修復と炎症の軽減を目的として使用する。損傷した軟骨の修復や慢性的な炎症を抑える効果がある上に、自身の血液から作られた治療法であるため副作用のリスクが低い。
膝の痛みにおける注射療法のメリットとデメリット
注射療法は、膝関節の炎症や強い痛みを抑えたりすることにおいては比較的即効性のある治療法ではあるが、一方で、感染症や出血、アレルギー反応や注射部位の痛みなどのリスクもある。また効果が一時的な場合が多いので、注射療法単独で治療を進めていくよりは、複数の治療オプションを併用して進めていくことが膝の痛みの早期改善のカギになってくる。
当院が推奨する膝の痛み改善リハビリ
ここからは、注射療法と併用して行ってほしいリハビリ療法を紹介する。当院に来られている膝痛患者さんに指導してる簡単で効果的なリハビリなので是非試してみてください。
①インサイドラインストレッチ&トレーニング
聞いたことがない言葉なのは当然。なぜならこれは私が作った概念だからだ。
インサイドラインとは、脚部の内側を通る筋肉で、私たちが立位(立つ・歩く・走るなど)の時に体幹を安定させる役割を担っている。
生活リズムの変化や過去のケガなどが原因で無意識的に間違った体の使い方を続けていると、インサイドラインの筋肉が硬直して膝や腰、股関節や足部などの部位に痛みが出やすくなる。
これから紹介するのは、インサイドラインの硬直の緩和・筋肉の強化をして痛みを改善しながら予防していく方法だ。簡単にできるので是非実践してみてほしい。
インサイドラインストレッチ(硬直の緩和)
①椅子や膝くらいの高さの台などを用意して、土踏まずを下に向けて足を乗せる。この時膝を伸ばす。
②足を乗せている方向に上半身を側屈する。
左右10秒ずつのストレッチを1セットとして、一日3~5セット行いましょう。
インサイドライントレーニング(筋肉の強化)
①タオルやクッションなどの柔らかいものを2つ用意する。
②椅子に座ってそれぞれを膝の間と内くるぶしの間に挟む。
③挟んだクッションを落とさないように脚を上下に動かす。動かすのがきつい場合は脚を浮かせるだけでもOK。また、座面に手をついたり背もたれをつかってもOK。
10秒動かす、浮かせる場合は10秒キープを1セットとして、一日3~5セット行いましょう。
②すねの筋肉(前脛骨筋)のストレッチ
①立ち姿勢で足首を地面に押し付けるように伸ばす(足首を寝かせずに真っすぐ伸ばすように心がけましょう)
②体重を前方にかけていき足首が伸びる感じがしたらそこで止める
③その姿勢で10秒ストレッチする
これを1セットとして、一日3~5セット行いましょう。朝・昼・夜、毎食後など、薬を飲むように時間帯を決めておくと忘れにくくなる。
③正しいフォームでウォーキング
患部に痛みやだるさなどの違和感があると、その部位をかばって歩く時に、
①腕の振りが弱く
②歩幅が狭く
③目線を下げて
歩いてしまう。
これだと、いくら治療を続けても良くならないので、
①腕を振って
②歩幅を広げて(脚の動きを意識するよりおへそを前に出すイメージで歩くとやりやすい)
③目線を上げる
最初は少し難しいかもしれないけど、この3つを頭に置いて歩いてみてほしい。
この歩き方ができるようになると、少ない力で体が動かせるようになるので症状の悪化を予防できる。
自分の症状に合った治療オプションで膝の痛みの早期改善を目指そう!
膝の痛みは今のあなたにとって日々の生活の大きな負担になっていると思いますが、一つのやり方に固執しないことと、適切な治療法を選択することでその負担を限りなく解消することができます。自分の膝の症状を把握して、自分に合った治療オプションをあなただけで決めるのではなく、私のような膝の専門家と相談しながら治療プランを立てて進めていくようにしてください。
今回の内容でご質問があれば下に連絡先を添付しているのですぐに相談してほしい。一緒にあなたの膝の痛みを早期に改善する方法を考えましょう。
あなたの悩みが一日でも早く解決することを心より願っています。
【予約制】