「膝の痛みを治したくて、いろんな運動や体操をやってきたけど、一向に痛みが治らない…」
「病院で膝が変形していて軟骨がすり減っているから、これ以上悪化すると手術になると言われたけど、手術は怖いからできれば手術せずに膝の痛みを治したい!」
「ちゃんと治すなら病院や整体にかかった方がいいのはわかっているけど、仕事や育児で通う時間がないから、家でもできる膝痛改善方法が知りたい!」
というようなお悩みをお持ちのあなたへ。
今回は、私が普段患者さんに、自宅でも簡単にできる膝痛改善セルフケアとしてご指導している【インサイドライントレーニング&ストレッチ】という方法をご紹介します。
手術を勧められているような重症な膝痛患者さんで、このセルフケアを実践して、膝の痛みが治ったという事例もたくさんあります。なので、
「もう、手術しかない」
「うまく付き合って痛みを騙しだまし生きていこう」
と諦めるのは、このセルフケアを実践してからにして下さい。
この記事の目次
インサイドラインとは?
インサイドラインとは、私が名付けた名称ですが、脚部の内側を通る筋肉のことで、「大腿部」「下腿部」「足部(土踏まず)」と、大きく3つの部位で構成されています。
【参考までに】インサイドラインを構成する筋肉一覧
大腿部:腸腰筋(ちょうようきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、内転筋群(ないてんきんぐん)
下腿部:腓腹筋内側頭(ひふくきんないそくとう)、ヒラメ筋内側線維(ひらめきんないそくせんい)、後脛骨筋(こうけいこつきん)、長趾屈筋(ちょうしくっきん)、長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)
足部(土踏まず):母趾外転筋(ぼしがいてんきん)、短母趾屈筋(たんぼしくっきん)、足底方形筋(そくていほうけいきん)
これらの筋肉によって、人間の基本姿勢である二足での立位、歩行、走行などで、体幹を安定させることができます。
なぜインサイドラインのアプローチで膝の痛みが解消するの?
膝の痛みの原因のほとんどが、インサイドラインの大腿部を構成している筋肉の硬直によるものです。
立ちっぱなしや座りっぱなしで同じ姿勢が続く生活をしていたり、日常生活やスポーツなどで間違った体の使い方をしていると、体幹が不安定になり、安定させるために必要以上にインサイドラインに負荷がかかってしまい、筋肉が硬くなり痛みを感じるようになります。
インサイドラインの動きが悪くなると、さらに体の使い方が悪くなってしまい、代償動作(かばい動作)が起こって、膝の前側、外側、後ろ側の筋肉や、股関節や腰の筋肉にまで負担がかかり、膝の痛みが悪化することはもちろん、股関節痛や腰痛を合併することにも繋がってしまいます。
変形や半月板損傷による膝の痛みも解消できる!
膝の痛みの原因として、変形性膝関節症による軟骨のすり減りや半月板損傷によるものと言われることがありますが、実は、これらの膝関節自体の病変での痛みもインサイドラインの筋肉の硬直によって起こっているものがかなり多いです。
そもそも、膝の病変は筋肉の硬直がひどくなったことで起こるものですし、関節の表面は、髪の毛や爪と同じで、痛みを感じる神経が存在しません。
実際に、私の院に来られる患者さんでも、病院で膝の変形や軟骨のすり減り、半月板損傷があると診断された方でも、インサイドラインに対するアプローチで痛みが解消した、という事例がかなりあります。
実践!インサイドライントレーニング&ストレッチ
インサイドラインの重要性はご理解いただけましたか?
では早速、膝の痛みを解消するインサイドライントレーニング&ストレッチを実践してみましょう。
インサイドライントレーニング
まずは、インサイドラインを構成している筋肉を、簡単なトレーニングで動かして、硬直を緩和していきます。
下の写真を観ながら一緒にやってみて下さい。
①タオルやクッションなどの小さくて軽い物を2つ用意します。
②椅子に座った状態で、それぞれを膝の間と内くるぶしの間に挟みます。
③挟んだ状態で、脚を上下に動かします。(脚を浮かせるだけでもOK!)
10秒動かす(浮かせているなら10秒キープ)のを1セットとして、一日3~5セット行いましょう。
椅子の背もたれを使ったり、座面を手で押さえながらやると、無理なく行うことができます。
動画での解説はこちら↓↓
インサイドラインストレッチ
筋肉をしっかり動かした後は、ストレッチで緩めていきます。
これは、インサイドラインに限ったことではなく、
「動かす⇒緩める」
この流れを作ることで、筋肉の柔軟性が高くなり、本来の役割を果たすことができるようになります。
下の写真を観ながら、一緒にやってみて下さい。
①立ち姿勢で椅子やベッドに脚を乗せます。膝は伸ばして、土踏まずを下に軽く押し付けるように乗せて下さい。
②その状態で、上半身を脚を乗せている方へ側屈します。インサイドラインが伸びている感じがしたら、その位置でキープします。
10秒伸ばすのを1セットとして、一日3~5セット行いましょう。
インサイドライントレーニングと併用した方が効果は高いですが、時間がなかったり、トレーニングはまだきついという方は、ストレッチだけでも大丈夫です。
動画での解説はこちら↓↓
組み合わせることでより確実に膝の痛みを解消!
インサイドラインに対するアプローチに加えて、以下の2つのセルフケアを併用すると、さらに高い効果が期待できますので、是非一緒にやってみて下さい。
①膝の痛みを解消するしゃがみ方
膝が痛くてしゃがむのが辛いという方にお勧めです。
しゃがむと膝が痛い人の特徴として、
・しゃがむ時に脚を閉じている
・しゃがむ時に膝に手を置いている
この2つが挙げられます。
実は、このしゃがみ方をしていると、膝の痛みをより感じやすくなりますし、膝を痛めていない人でも、このしゃがみ方を続けていると、膝の痛みが出やすくなります。
上の写真のように、
・脚は肩幅より少し広く
・つま先は外側に向けて
・手は脚の付け根に
この3つを意識してしゃがむ練習をしてみましょう。
しゃがむ時に、脚のスタンスが狭い状態で膝を曲げると、インサイドラインが硬直して膝をロックしてしまい、曲げ伸ばし動作に制限をかけてしまいます。
広いスタンスでしゃがむと、インサイドラインの硬直が起こらないので、スムーズに曲げ伸ばしができるようになります。
いきなり痛みなくしゃがみ動作ができるようになるわけではありませんが、これを続けることで、しゃがみ動作がストレッチになりますから、徐々に膝の可動域が広くなって、いつの間にか痛める以前のようにしゃがめるようになってきます。
②膝の痛みを解消する歩き方
歩くと膝が痛いという方は是非やってみて下さい。
膝に痛みを感じていると、
・腕の振りが弱い
・歩幅が狭い
・目線が下がっている
このように歩いてしまいます。
これは、できるだけ体の動きを小さくして、痛みを感じないようにしている、代償動作(かばい動作)と呼ばれる現象です。
筋肉は、動かさないことでどんどん硬直していきますので、この代償動作は逆効果です。
少し怖いかもしれませんが、
・腕を振って
・歩幅を広げて
・目線を上げる
この3つを意識して歩いてみましょう。
筋肉を動かしていくと、筋肉の硬直が緩和しやすくなり、硬直が起こりにくくなります。
これもしゃがみ動作と同じで、続けることで徐々に痛みが楽になり歩きやすくなりますので、焦らずにゆっくり膝を治していきましょう。
【おまけ】インサイドラインを強化することで得られる3つのメリット
インサイドライントレーニング&ストレッチのメリットは、膝の痛みを解消するだけはありません。
ここからは、インサイドラインを強化することで他にどのようなメリットがあるのかをご紹介しますので、興味があったら是非最後までお読み下さい。
メリット①:下半身7疾患の症状改善
インサイドラインは、体幹を安定させる役割があります。体幹が安定すると、少ない筋力で身体を動かすことができます。
少ない筋力で身体を動かすことができれば、身体の各部位や関節にかかる負担も少なくなりますので、膝の痛みはもちろん、腰痛や股関節痛、偏平足や外反母趾、強剛母趾、足底筋膜炎などによる足部の痛みも解消して予防することができます。
先ほどもお伝えしましたが、関節にかかる負担が少なくなれば、たとえ関節の変形や軟骨のすり減りなどの関節の病変があっても、痛みを解消することが可能となります。
メリット②:スポーツやダンスでのパフォーマンス向上
少ない筋力で身体を動かせるようになると、細かい動作から力強くダイナミックな動作まで容易にできるようになりますから、スポーツやダンスなどの身体表現において、身体に本来備わっている潜在能力を最大限まで引き出すことができるようになります。
また、無駄な動きがなくなり、いわゆる「省エネ」で身体を動かすようになるので、体力の消耗も少なくなり、体力の回復も早くなります。
つまり、インサイドラインを鍛える前よりも少ないエネルギーで、鍛える前以上のパフォーマンスができるようになるというわけです。
メリット③:自己治癒力&免疫力アップ
筋肉の収縮運動は、血液循環を促進します。特にインサイドラインの下腿部と足部は、心臓の働きをサポートする『第二の心臓』と呼ばれています。
心臓は上半身から下半身へ、脚部は下半身から上半身へ、全身に血液を循環させることで、血中の免疫細胞が全身に行き渡り、体内に入ってきた細菌やウイルスを侵食して、感染しても発症しない、重症化しない、すぐに治る強い身体を作ることができます。
まずは実践!できることをやって膝の痛みを解消しましょう!
膝の痛みは、確かに専門家と一緒に治療していく方が確実ですが、いろんな事情があって通えない人もいますし、病院に行くと違う病気をもらってくるリスクがあるから行きたくないという人もいるでしょう。
どちらにしても、自分の身体を良い状態にするならば、任せっきりはいけません。
このブログも、読んで終わりにするのではなく、読んだら即実践するようにしてください。
膝の痛みだけでなく、何事も良い方向へ進めようと思ったら、とにかく「行動」です。
今この瞬間でもできることはたくさんありますから、できることからでいいので、すぐに始める習慣をつけましょう。
今回のブログは、かなり長文になりましたが、まだまだ全てをお伝えしきれていません。インサイドラインに対するアプローチ方法に関しても、今回お伝えした内容はごく一部です。
「膝の痛みを解消するノウハウをもっと知って、より自分に自信をつけたい」
もしくは、
「インサイドラインの重要性やセルフケアのやり方がまだよくわからない」
という方は、遠慮せずに当院までご相談下さい。
膝の痛みをできるだけ早く解消して、以前のような充実した生活を取り戻しましょう!
あなたの健康を心よりお祈り申し上げます。