「長年、マッサージや整体に通っているけど、楽なのはその時だけで、いつまで経っても腰痛が治らない…」
「定期的にぎっくり腰になって、その度に家族や職場に迷惑をかけるから、ぎっくり腰にならないようにしたい!」
「ヘルニアの手術をしないと治らないと言われたけど、手術はしたくないから手術せずに腰痛を治せる方法が知りたい!」
など、腰痛があることで日々悩みが絶えないあなたへ。
今回は、私が腰痛患者さんにご指導している「インサイドライントレーニング&ストレッチ」というセルフケア方法をご紹介します。
この方法で、定期的に繰り返すぎっくり腰が起こらなくなったり、手術を勧められるくらいひどかった腰痛が解消した、という事例が多数ありますので、
「もう治らないから痛み止めとかで騙しだまし付き合っていこう…」
「気が進まないけど、手術しかないのかな…」
と、諦めるのは、今回のブログの内容を実践してからにして下さい。
この記事の目次
インサイドライントレーニング&ストレッチを始める前に…
手順を解説する前に、インサイドラインとは何なのか?を簡単に説明していきます。
私が命名した『インサイドライン』とは、脚部の内側を通る筋肉のことで、主に立位時(立ち姿勢、歩行運動、走行運動)に体幹を安定させる役割を担っています。
インサイドラインは、大きく3つの部位に分かれていて、
・大腿部(だいたいぶ)
・下腿部(かたいぶ)
・足部(そくぶ)
で構成されています。
もう少し平たく言うと、大腿部は、太ももの内側(内もも)、下腿部はふくらはぎの内側、足部は土踏まずの部分になります。
インサイドラインを構成する筋肉一覧
それぞれの部位は、1本の筋肉で構成されているのではなく、各部位ごとに数本の筋肉で構成されています。興味があれば、それぞれの部位を構成している筋肉もチェックしてみて下さい。
大腿部:腸腰筋、内側広筋、内転筋群(内転筋群はさらに、恥骨筋、大内転筋、長内転筋、短内転筋、半腱様筋、半膜様筋、縫工筋、薄筋の8つの筋肉で構成されています。もうこの辺で筋肉の話がお腹いっぱいなら先に進んで下さいね。笑)
下腿部:腓腹筋内側頭、ヒラメ筋内側線維、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋
足部:母趾外転筋、短母趾屈筋、足底方形筋
なぜインサイドラインのアプローチで腰痛が解消するのか?
腰痛の原因の多くは、体幹の不安定による腰周辺の筋肉の硬直によるものです。
同じ姿勢が続いたり、日常生活動作やスポーツなどの運動時に間違った体の使い方をしていることで、インサイドラインの動きが悪くなり体幹が不安定になります。
体幹が不安定になると、無意識的にその不安定感を腰周辺の筋肉でカバーしますから、過度の負担がかかり、筋肉が硬直して痛みを感じるようになります。
つまり、腰痛というのは、腰自体に直接負荷がかかって起こっているのではなく、代償動作(かばい動作)によって、間接的に腰に負荷がかかって起こっていることが多いのです。
ヘルニアやすべり症による腰痛も解消できる?!
整形外科を受診すると、腰痛の原因として、椎間板ヘルニアや分離すべり症、脊柱管狭窄症など、腰椎の病変によるものと診断されることもあります。
確かに、これらの腰椎の病変があると腰痛は起こりますが、腰周辺の筋肉の硬直を解消すると、痛みが取れることも多々あります。
実際に、当院に来られたヘルニアやすべり症と診断された患者さんでも、今回ご紹介するインサイドラインのアプローチで腰痛が解消しています。
そもそも、腰椎の病変は、腰周辺の筋肉の硬直が原因で起こりますし、ヘルニアやすべり症自体は元々無症状なことが多いです。
腰椎の病変があるからといって、必ずしもそれだけが痛みの原因とは限りませんので、視野を広げて、今までと違う角度から腰痛の治療をしていきましょう。
インサイドライントレーニング&ストレッチ~実践~
インサイドラインの重要性はわかっていただけましたか?
では早速、インサイドラインのトレーニングとストレッチを始めていきましょう。
インサイドライントレーニング
まずは、簡単なトレーニングでインサイドラインを動かして、筋肉の硬直を緩和していきましょう。
下の写真を観ながら一緒にやってみて下さい。
①フェイスタオルもしくは小さいクッションを2つ用意します。
②椅子に座って、それぞれを膝の間と内くるぶしの間に挟みます。
③タオルやクッションを落とさないように、脚を上下に動かします。(脚を浮かせるだけでもOK)
10秒上下に動かす(脚を浮かせる場合は10秒キープ)のを1セットとして、一日3~5セット行いましょう。
椅子の背もたれを使ったり、座面を手で押さえながら行うと無理なくトレーニングができます。
動画での解説はこちら↓↓
インサイドラインストレッチ
トレーニングの後は、ストレッチです。
動かすだけだと、疲労による硬直が起こりやすくなりますので、
「動かす⇒緩める」
この流れを作って、筋肉に余計な疲労が溜まらないようにしておくと、筋肉の柔軟性が高くなり、筋肉が本来の働きができるようになります。
下の写真を観ながら、一緒にやってみましょう。
①立ち姿勢で、膝の高さくらいの椅子やベッドに、土踏まずを下に押し付けるように足を乗せます。
②脚を乗せた側に上半身を側屈していきます。
10秒伸ばすのを1セットとして、一日3~5セット行いましょう。
脚を乗せるのが辛い場合は、もっと低い台などで行って下さい。
動画での解説はこちら↓↓
基本的に、「トレーニング⇒ストレッチ」の流れが望ましいですが、両方するのがまだ辛い、あまり時間がないという方は、トレーニングかストレッチのどちらかでも大丈夫です。
インサイドライントレーニング&ストレッチと組み合わせて実践!
インサイドラインに対するアプローチに加えて、以下の2つの日常生活動作を意識すると、さらに腰痛を解消&予防することができます。
①腰痛を解消する歩き方
腰痛になりやすく、腰痛が治らない人は、
・腕の振りが弱く
・歩幅が狭く
・目線が下がっている
このように歩いています。
これは、体の動きを小さくして、痛みを鈍らせようと無意識的にやってしまう代償動作(かばい動作)という現象です。
筋肉の硬直は、体の動きが少なくなると起こりやすくなりますから、痛みをかばって小さく歩いてしまうとかえって逆効果です。
インサイドラインに対するアプローチで筋肉の硬直を緩和しても、筋肉を硬める歩き方を続けていたら、一進一退でいつまで経っても痛みは解消できません。
筋肉を硬めないようにするには、
・腕を振って
・歩幅を広げて
・目線を上げる
この3つを意識して歩く習慣を身につけましょう。
動画での解説はこちら↓↓
②腰痛を解消する立ち上がり方
歩き方と同様に、椅子から立ち上がる時にも、代償動作による間違った立ち上がり方をしてしまっていることが考えられます。
腰痛が治らない人は、
・膝に手を置いて脚を押さえつけるように立つ
・痛みが出ないようにゆっくり立つ
このような立ち上がり方をしています。
この立ち上がり方をしていると、腰周辺の筋肉やインサイドラインに必要以上に力が入ってしまう為、かえって痛みを感じやすくなり、筋肉の硬直も悪化します。
少し怖いかもしれませんが、
・痛みを恐れず早く立つ
・座面やひじ掛けを手で押しながら力強く立つ
この2つを意識して、立ち上がり動作をできるようにしましょう。
動画での解説はこちら↓↓
腰痛がある時でもない時でも、インサイドライントレーニング&ストレッチと、この2つの日常生活動作を習慣的にできるようになっておくと、今後腰痛になりにくく、腰痛になってもすぐに解消できる体が出来上がっていきます。
インサイドライントレーニング&ストレッチにはメリットがたくさん!
インサイドラインに対するアプローチの効果は、腰痛を解消するだけではありません。
ここからは、インサイドライントレーニング&ストレッチのメリットをご紹介します。
①膝の痛みや股関節痛や足の痛みを解消
インサイドラインは体幹を安定させる役割を担っています。体幹が安定すると、少ない筋力で身体を動かすことができるようになります。
少ない筋力で身体を動かすことができれば、各部位や関節にかかる負担が少なくなりますから、腰痛だけでなく、膝の痛みや股関節痛、偏平足、外反母趾、強剛母趾、足底筋膜炎などによる足の痛みが解消しやすくなります。
②スポーツやダンスでのパフォーマンスUP
①でも解説したように、体幹が安定すると少ない筋力で身体を動かすことができるようになりますから、細かい動作から力強くダイナミックな動作まで、容易にできるようになります。
本来備わっている潜在能力を最大限に引き出すことができますから、スポーツやダンスなどでパフォーマンスを上げることにも繋がります。
また、少ない筋力で身体を動かす、つまり、「省エネ」で身体を動かせるようになりますから、体力の消耗も少なくなり、疲労回復も早くなります。
要するに、インサイドラインをしっかり使えるようになることで、以前よりも少ない体力で、以前よりも高いパフォーマンスでスポーツやダンスができるようになるわけです。
③免疫力を上げて病気になりにくい体に
インサイドラインに対するアプローチは、現代社会で今最も深刻な問題となっている、ウイルス感染や細菌感染の、『最上級』ともいえる感染対策にもなります。
インサイドラインの、特に下腿部と足部の筋肉の収縮運動は、全身の血液循環を促進する『第二の心臓』として、身体にウイルスや細菌を寄せ付けない免疫機能促進作用があります。
心臓は上半身から下半身へ、下腿部と足部は下半身から上半身へ、全身に血液を循環させることで、血中の免疫細胞が全身に行き渡り、ウイルスや細菌に感染しても発症しない、重症化しない、発症しても早期回復できる強い身体を作ることができます。
腰痛を解消するために「最も大切なこと」
インサイドライントレーニング&ストレッチをメインに、腰痛の解消方法、予防方法をお伝えしましたが、大事なのは手法だけではありません。
腰痛を解消するために、私が最も大事にしていることは、
「患者さんに気づいてもらう」
です。
このブログの最初に、腰痛が起こる原因は、「筋肉の硬直によるもの」と解説しましたが、その筋肉の硬直を引き起こしているのは、誰でもなくその人自身です。
もちろん、患者さんを責めるつもりはありません。わかってほしいのは、
腰痛を治す為には、任せっきりではいけない!
ということです。
自分で悪くしてしまったものは、良くできるのも自分だけです。
わからないことは、腰痛の専門家にいくらでも相談すればいいと思います。でも、専門家に頼るだけで自分では何もやらないと、いつまで経っても腰痛は治りません。
トレーニングやストレッチなどのセルフケア、歩き方や立ち上がり方などの日常生活動作、自分でできることは自分でしっかり行い、補助的に施術や体の使い方のコーチングを専門家に依頼する。
このように、患者さんと専門家の連携プレイをすることで、確実に腰痛になりにくい体が作っていけます。
時間がなくて治療院に通うことができないなど、人にはそれぞれいろんな事情があると思います。そういう人は、まずは「連携プレイが大事!」ということをしっかり覚えておいて下さい。
「わかっているけどできない」と「わかってなくてやらない」とでは、天と地とほど違います。
本当に大事なことがわかっていたら、いつかするようになりますから、その時には、徹底的に腰痛対策をやっていきましょう。
今回の内容でわからないことや訊きたいことがあれば、わからないままにせずにすぐに当院までご相談下さい。
あなたの健康と今後の明るい未来を心よりお祈り申し上げます。