「あぐらがかけなくて、家で窮屈な座り方しかできないからリラックスできない…」
「普段お座敷に座ることが多いから、あぐらがかけないとすぐに疲れてじっと座っていられない…」
「ヨガに通っているので、あぐらができないと周りと同じようにポーズができなくて恥ずかしい…」
など、あぐらができないことで毎日お悩みのあなたへ。
今回のブログでは、あぐらがかけない原因と、その原因を解消する方法についてお伝えします。自宅で簡単にできる方法ですので、是非やってみて下さい。
この記事の目次
あぐらがかけない原因は、内転筋の「縫工筋」という筋肉の硬直
あぐらという座り方は、主に太ももの内側にある「内転筋群(ないてんきんぐん)」という数本の筋肉の束の働きによるものです。
内転筋群は、立位時や歩行時に体幹を支えたり、脚部を閉じて脚部の内側同士を密着させる動作(内転といいます)を行う役割を担っています。
その中でも特に「縫工筋(ほうこうきん)」という、股関節のやや外側から膝の内側にかけて斜めに伸びている長い筋肉の収縮・伸長運動によって、あぐらができるような体の構造になっています。
一般的な解剖学の文献では、縫工筋は内転筋群には含まれていませんが、他の内転筋群と同じ働きをしますので、ここでは敢えて縫工筋も内転筋群の一員として考えます。
あぐらは、変な力が入りにくく、脚部の筋肉が緩みやすい座り姿勢です。多少の時間続けていても、比較的疲れを感じにくいので、プライベートでリラックスしている時にあぐらで過ごす人が多いと思います。
長時間同じ姿勢で過ごすことが多かったり、気温が低い場所で過ごすことが多かったり、無意識的に間違った体の使い方をしているなど、何らかの原因で内転筋の、特に縫工筋が硬直してしまうと、あぐらをする時に筋肉がうまく動かず、股関節が広がらずにあぐらがかけなくなります。
あぐらがかけない原因となっている、縫工筋の硬直を緩和することができれば、また以前と同じようにあぐらができるようになります。
あぐらがかけない原因を解消!内転筋ストレッチをやってみよう!
あぐらがかけない原因は理解できましたか?
では早速、縫工筋をはじめとする内転筋のストレッチを実践していきましょう。
縫工筋だけを単独でストレッチするのは難しいですし、縫工筋以外の内転筋も、あぐらに全く関係していないわけではないので、一緒にストレッチして緩めましょう。
①インサイドラインストレッチ
インサイドラインというのは、内転筋を含む脚部の内側を通る筋肉のことです。
インサイドラインの詳細は別のブログ記事でご紹介していますので、興味があればお読み下さい↓↓
【股関節痛解消】インサイドライントレーニング&ストレッチ|大阪府箕面市・整体院リプレ
今回は、あぐらがかけない原因に対するアプローチのお話なので、ストレッチのみご紹介します。
①立ち姿勢で、椅子やベッドに足を乗せます。
座面に土踏まずを押し付けるようにして、膝は伸ばします。
②足を乗せている方向に上半身を側屈します。
内ももが伸びている感じがしたら、その位置でキープしてストレッチします。
10秒伸ばすのを1セットとして、一日3~5セット行いましょう。
②空気イスストレッチ
これは本来、お尻の筋肉を伸ばすストレッチですが、縫工筋のような長い内転筋も同時に伸ばすことができます。
このストレッチがしっかりできるようになると、あぐらをかくのがとても容易になります。
①伸ばしたい方の足を、反対側の膝の少し上あたりに乗せて4の字を作ります。
②ゆっくり腰を落としていき、空気イスの体勢になります。
無理はせずに、辛くない所まで腰を落としたら、その位置でキープしてストレッチします。
10秒伸ばすのを1セットとして、一日3~5セット行いましょう。
壁に手を突いたり、安定した柱などを持ちながら行うと、無理なくストレッチすることができます。
最初は、インサイドラインストレッチから始めて、慣れてきたら空気イスストレッチも併用していくという流れが最も身体が順応しやすいです。
いきなり両方始めてもいいのですが、たくさんやるからといって、すぐにあぐらができるようになるわけではありませんし、人によっては、一度に刺激を与えすぎると、防御反応によってかえって筋肉は硬直しやすくなります。
すぐに結果を出そうとせずに、焦らず、簡単で刺激が緩いことから始めて、徐々に刺激を強めて慣れていきましょう。
内転筋を硬めない為にはストレッチだけでは不十分!
ストレッチで筋肉を緩めても、日常生活の中で気づかないうちにまた筋肉を硬めてしまうことがあります。
筋肉を緩める方法と一緒に、筋肉を硬めないような体の使い方も身につけておきましょう。
①内転筋を硬めない歩き方
内転筋を硬める歩き方は、
・腕の振りが弱く
・歩幅が狭く
・目線が下がっている
という3つの特徴があります。
このように、体の動きを小さくして歩いていると、内転筋の動きが少なくなり硬直が悪化してしまいます。
内転筋を硬めないようにするには、
・腕を振って
・歩幅を広げて
・目線を上げる
この3つを意識して歩く習慣をつけましょう。
②内転筋を硬めない立ち上がり方
これは特に、股関節痛や腰痛、膝の痛みなど、体に痛みがある人がよくやってしまう立ち上がり方です。
・膝に手を置いて脚を押し付けるように立つ
・痛みをかばってゆっくり立つ
この立ち上がり方は、内転筋に必要以上に力が入っていますので、やればやるほど内転筋が硬直しますし、痛みも悪化していきます。
内転筋を硬めないようにするには、
・痛みを恐れず早く立つ
・座面やひじ掛けを手で押すように力強く立つ
痛みがあると少し怖いかもしれませんが、続けていくうちに徐々に痛みも解消していきますし、今回の本題である、あぐらをするのも楽になってきます。
③内転筋を硬めないしゃがみ方
しゃがみ動作をする時に、
・脚を閉じて
・膝に手を置く
このようにしゃがんでいる人が多いのですが、このしゃがみ方は、内転筋がロックしたような状態になりますので、膝と股関節の可動域が制限されて、あぐらがしにくくなり、さらに続けると股関節痛や膝の痛みが出るようになります。
内転筋をロックしないようにしゃがむには、
・脚を肩幅より少し広げて
・つま先は外側に向けて
・手は脚の付け根に置いて
この3つを意識してしゃがんでみて下さい。
このしゃがみ方を習慣的に続けていると、しゃがみ動作が下半身のストレッチになりますので、徐々に可動域が広がって、あぐらもできるようになりますし、痛みも出にくくなります。
あぐらがかけないだけではない!内転筋の硬直で起こるデメリット
内転筋の硬直で起こるデメリットは、あぐらがかけないだけではありません。他にどのようなデメリットがあるのかを知っておいてください。
①股関節痛や腰痛、膝の痛みが起こりやすくなる
先ほども少し触れましたが、内転筋が硬直すると、股関節や膝関節の可動域が制限されて動きが悪くなります。この状態が続くと、関節を動かす時に硬くなった筋肉が引っ張られて痛みを感じるようになります。
股関節と膝の動きが悪くなり痛みが出るようになると、痛みをかばって腰周辺の筋肉にも負担がかかり、腰痛やぎっくり腰を繰り返すようになることもあります。
内転筋が硬直した状態がさらに続くと、関節の変形や関節表面の軟骨のすり減りが起こり、さらに関節の制限が強くなって、外科手術を余儀なくされてしまうことに繋がります。
②免疫力が下がって病気になりやすくなる
内転筋をはじめとする下半身の筋肉は、心臓の血液循環をサポートする『第二の心臓』と呼ばれています。
血中には、身体に侵入したウイルスや細菌を退治する免疫細胞がたくさん含まれています。
全身に血液を循環させるには、心臓の働きだけでは不十分で、下半身の筋肉の収縮運動によるサポートがあって、全身に血液を循環させることができて、体を病気から守ります。
内転筋をはじめとする下半身の筋肉が硬直すると、筋肉の収縮運動が低下して血液循環が悪くなり、全身の免疫力が下がってしまいます。
あぐらがかけないのは身体に異変が起こっているサイン
今回のブログでは、あぐらがかけない原因と対処法というテーマを通じて、内転筋の重要性をお伝えしました。
内転筋が硬直した状態で過ごしていると、あぐらがかけなくて生活の質が落ちるだけではなく、股関節痛や膝の痛みや腰痛が起こったり、免疫力が低下して病気にかかりやすくなったりと、あなたの身体にとって悪いことが次々と起こり始めます。
あぐらがかけない程度、股関節や膝は少し痛いが気になるほどではない程度で症状が留まっているならば、それは今後自分の身体に起こる異変を知らせてくれているサインだと思って下さい。
症状が軽いうちに、今回ご紹介したストレッチや体の使い方を徹底して、手術や病気がちの生活という最悪の結末にならないように対策をしておきましょう。
あなたの健康を心よりお祈り申し上げます。